以前にも触れましたが、今回はPTSDの症状について整理したいと思います。
PTSDの症状としては、以下に挙げる3つが主になっています。
1)再体験症状
被害にあったときのことが生々しく、繰り返しよみがえってくる(=フラッシュバック)。
その度に、その時と同じ恐怖に襲われ、冷や汗やめまい、息苦しさ、
動悸、震えなどの体の症状が現れる。被害にあったときのことを夢に見る。
2)回避症状(精神麻痺)
被害にあったときのことを話したり考えたり出来ない、関係した場所へ行けない、
関係した物や人のことを考えたくないなど、思い出させる事象や事物を避ける。
被害にあったときのこと(一部でも)を思い出せない。日常生活に関心が持てない。
感情が麻痺したようで、愛情や幸福感を感じられない。
将来について前向きに考えられない。
回避症状の一種として、解離(体と意識が別々のような感覚)、離人(周囲で起きている
ことが、厚いガラス張りの向こうで起きているような感覚)、人格分裂的な症状(主人格の
変わりに、別の人格がやけに頑張ったり悲嘆したりするような感覚)が挙げられます。
3)過覚醒症状
いらいらして怒りっぽくなる。眠れない。集中できない。必要以上に警戒しすぎる。
ちょっとした刺激(音など)にもびくびくする。非常ベルが鳴りっぱなしのような状態。
ご覧になってお分かりのように、ここに挙げた症状は、今回の震災で被害を受けられた
皆さんにとっては、決して珍しくなく、誰もが体験したことのある反応でしょう。
つまり、これらの症状は、「恐ろしい出来事に遭遇したら、誰もが感じる
極めて自然な反応」であると言えます。
ただ、普通であれば時間が経過するにつれて、このような反応はだんだん少なくなり
落ち着いてくるのに対して、半年後、1年後、2年後になっても軽くならない場合に、
PTSDとして治療を受けることをおすすめします。
まずは、「自分に起きている症状は異常なのではなく、正常な反応なんだ」という事を
認識しましょう。とはいえ、起きる症状はご本人にとって、とても辛いものです。
次回は、対処法についてお話しできたらと思います。